「星巡る」五十嵐佳子著

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 結実が14歳で産婆の見習いとなって8年目を迎えた。ここ八丁堀界隈には、祖母で師匠の真砂が2代、3代と取り上げた家も多く、周囲の女性たちの信頼も厚い。同じ見習いのすずが所帯を持ち、身重となったので、結実はこれまで以上に忙しい。

 父の正徹が営む診療所で修業中の見習い医師・源太郎にひそかに思いを寄せる結実だが、亡き母や義母の正徹を支える姿を見ると、昼夜なくお産に飛び回る自分が、医師を志す源太郎にふさわしい女とは思えない。おまけに源太郎目当てに薬種問屋の娘・紗江が診療所に出入りするようになり、結実の心は落ち着かない。

 そんなある日、結実は酒問屋に嫁いだ幼馴染みの赤ん坊を取り上げる。

 幕末の江戸で懸命に生きる産婆見習いの結実の成長を描く時代長編。

(朝日新聞出版 858円)

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