「65歳からデイサービス従業員はじめました」夏樹久視著

公開日: 更新日:

 推理作家として活躍していた著者は、母親が認知症になったのを機に介護ヘルパー2級の資格を取得。デイサービス施設に非正規で運転手兼ヘルパーの職を得て意気揚々と働き出した。

 ところが、生まれて初めてのトイレ介助で粘土質のアレをトイレットペーパーを挟んで掴むはめに。また迎えに行ったおじいちゃんには突如失禁され、女性の利用者に社交辞令を言えば、なぜか「暴行」の容疑者扱いされるなど、“まさか”の連続だ。同僚たちの“無常識”ぶり、四角い窓を丸く拭いて平然とする姿にもあぜんとする。

 そんな中でも「あなたに会えてよかった」と言ってくれた78歳の女性利用者、高校生ボランティアとの出会いなど喜びもあった。

 作家の目を通して語られる、悲喜こもごもの介護現場ドキュメント。介護される人の姿からさまざまな「老い」が見えてくる。

(リベラル社 1540円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  2. 2

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  3. 3

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 4

    「べらぼう」大河歴代ワースト2位ほぼ確定も…蔦重演じ切った横浜流星には“その後”というジンクスあり

  5. 5

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  1. 6

    「台湾有事」発言から1カ月、中国軍機が空自機にレーダー照射…高市首相の“場当たり”に外交・防衛官僚が苦悶

  2. 7

    高市首相の台湾有事発言は意図的だった? 元経産官僚が1年以上前に指摘「恐ろしい予言」がSNSで話題

  3. 8

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  4. 9

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  5. 10

    高市政権の「極右化」止まらず…維新が参政党に急接近、さらなる右旋回の“ブースト役”に