「やわ肌くらべ」奥山景布子著

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 歌人の与謝野鉄幹が東京新詩社という雑誌の結社を立ち上げた。講演会の後の歌会で、鳳晶子は山川登美子と出会う。鉄幹が発行する歌誌「明星」に全国から短歌が投稿されるようになった。鉄幹の内縁の妻、滝野は、送られてきた投稿歌を読んで愕然とした。

「あたらしくひらきましたる歌の道に 君が名よびて死なんとぞ思ふ 登美子」「病みませるうなじに細きかひなまきて 熱にかわける御口(みくち)を吸はむ 晶子」

 その後も彼女たちの作品に歌われている「君」とは、鉄幹のことではないのか。

 短歌の革新を実現しようとした与謝野鉄幹をめぐって、短歌と愛の絆でもつれ合う3人の女の葛藤を描く。

(中央公論新社 1870円)

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