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 港町で生まれたマリは、父親を知らない。母もその男が誰なのか知らないという。恐らく欧米の血が入っているであろうマリは成長し、やがて女優の道を歩み出す。そして今、目の前にいるのはスター俳優の一条秋人だ。

 共演から男女の仲になったが、ベッドで秋人は常に高圧的だった。気持ちは冷めていっても、秋人に触れられると声が出てしまう。彼に教わった体の奥のほうが刺激されると脳がしびれるのだ。

 あるとき、出演映画の取材を2人で受けたが、その夜、秋人に「マリは生意気だった」とキレられた。秋人の容赦ない乱暴さの中でマリは「やめて」と懇願しながらも、そうすることで彼を挑発していたことに気づく。謝れば謝るほど興奮と快楽の波が大きくなっていくのだ。(「天然美人」)

 マリと秋人を取材した女性ライターと友人との会話を偶然耳にし、恋愛の駆け引きの術を知った25歳の夏実とバツイチの壮一郎の物語、その壮一郎と20年以上不倫関係にあったお里が利用した女性用風俗など、登場人物が緩やかにつながっていく6編の連作官能小説。

 さまざまな男女の関係性を描きながら、女性が人生を取り戻していく姿が浮かび上がる。

(幻冬舎 1760円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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