文庫で読む戦争を考える本特集(3)米軍にも日本軍にも蹂躙された沖縄の人々「カジムヌガタイ」比嘉慂著

公開日: 更新日:

 太平洋戦争終結から81年を迎えた今年の夏。戦争は過去のものになるどころか、歴史が再び繰り返されても不思議ではない不穏な空気が世の中に満ちている。今回は再び愚かな道を進まないために読んでおきたい戦争の実態に迫る文庫本4冊を紹介する。

  ◇  ◇  ◇

「カジムヌガタイ」比嘉慂著

 苛烈な犠牲を強いた沖縄戦と米軍統治初期の混乱状態の中、米軍のみならず日本軍にまで蹂躙された沖縄の人々を描いた戦争漫画。米軍による性暴力や日本兵による住民惨殺、避難壕や食料の強奪など、戦争を理由に命と尊厳を奪われた人々をリアルに再現している。

 米兵に母親を奪われたアユという少女を描いた「カジムヌガタイ」、日本兵に避難壕を奪われ母親を殺された友子の物語「フシムヌガタイ」などの計7話に加えて、文庫化にあたって「遺書として」という著者のエッセーが追加されている。

 2026年現在、政治家の「台湾有事は日本有事」という言動に、「どうせ戦場は沖縄だ」という本土の本音を感じるという著者。本書には米国、日本、中国の戦争に巻き込まれたくないという沖縄の痛切な祈りが込められている。 

(筑摩書房 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日向坂46「ひなたフェス」中止でもファンは宮崎へ「43億円」を動かした“推し活地方創生”の底力

  2. 2

    令和版『八つ墓村』にはこれまでにない「2つの見どころ」あり Jホラーの名匠と新・金田一耕助が魅せる

  3. 3

    「橋上代行昇格は絶対ない」 巨人来季監督に浮上する松井秀喜氏、高橋由伸氏に次ぐ「第3の男」

  4. 4

    青学大の4年間は「ひたすら駅伝を目指す」だけじゃない 今夏は初の海外合宿に踏み切った

  5. 5

    巨人・阿部前監督が球団復帰へ着々 「辞任4カ月での出戻り」は毒になるか、薬になるか

  1. 6

    佐々木朗希の最悪すぎる“退団劇”…ロッテから優秀スタッフ3人を引き抜き、大顰蹙を買っていた

  2. 7

    元関脇嘉風・中村親方〈1〉なぜ「朝稽古をしない」のか? 角界の常識から“あえて外れる”部屋づくり

  3. 8

    桑田真澄氏の発言が波紋 巨人の内部事情暴露のやけっぱち…来季監督の芽は完全消滅か

  4. 9

    六代目との抗争終結で勝ちどきをあげているのは絆會

  5. 10

    コメ農家廃業ラッシュ&米国産ジャガイモ輸入解禁に生産者猛反発! 農水省にはブーイングの嵐