妻子を捨て愛人と家を出た父「中学受験だけはさせてやってくれ」…小6娘を待っていた残酷な現実
「中学受験だけはさせてやってくれ」──妻子を残し、愛人とともに家を出た父親が最後に残した言葉だった。しかし、父親の突然の出奔によって、受験を目前に控えた小学6年生の娘は塾をやめ、志望校への挑戦も断念することになった。中学受験の現場に25年身を置く講師が今も忘れられない、親の身勝手に人生を翻弄された子どもの話とは──。
◇ ◇ ◇
中学受験の世界に25年身を置いていると、子どもの学力以前に、家庭というものの複雑さを嫌というほど見せつけられます。今回書くのは、私が今でも忘れられない、ある一家の話です。その子は小学6年生の女の子でした。おとなしいけれど芯のある子で、算数の応用問題を解くときの粘り強さに、私はいつも感心していました。
難しい問題にぶつかっても、すぐに答えを聞こうとはせず、鉛筆を握ったまま長い時間考え込む。そういう子でした。成績も安定していて、このまま行けば第1志望も十分に狙える。受験の年を迎え、いよいよこれからという矢先のことでした。
ある日、母親から塾に電話が入りました。声が震えていました。最初は何かの行き違いかと思いましたが、そうではありませんでした。要点だけを言えば、夫が家を出た、というのです。それも、愛人と一緒に。
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