「焼け野の雉」梶よう子著

公開日: 更新日:

「焼け野の雉」梶よう子著

 おけいは小松町で飼鳥屋を営んでいる。亭主の羽吉は胸が青く光る鷺を捕らえに旅立ったまま行方不明だ。おけいが飼っている雄の九官鳥の月丸が羽吉そっくりの声で「オケイー」と鳴くと、胸が痛くなる。

 年が明けたばかりの頃、おけいは小鳥たちが落ち着きなく渡っているのに気づいた。遠くで聞こえていた半鐘の音が迫ってくる。遠くに黒煙と炎が見えた。だが、小鳥を置いて逃げるわけにはいかない。古手屋の八五郎と長助の親子が引いてきた大八車に夜具に包んだ鳥かごを乗せ、炎を避けて走り出すが……。

 九官鳥と暮らす飼鳥屋の女と、彼女を支える町の人びとを描く、心温まる時代小説。 (朝日新聞出版 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性