「メンタルマネジメント大全」ジュリー・スミス著 野中香方子訳

公開日: 更新日:

「メンタルマネジメント大全」ジュリー・スミス著 野中香方子訳

 風邪をひきそうなときにはビタミンCを取って早めに寝るなど、身体面のケア方法はいつの間にか身についている。しかし、メンタル面のケア方法では風邪に対するビタミンCのような“これ”という対応策は意外と分からないものだ。

 そこで手に取ったのが、世界37カ国で刊行されベストセラーとなっている本書。心理学者であり臨床心理士でもある著者が、自分で簡単にできるメンタルケア方法を解説している。

 たとえば、気分が落ち込んでいるときにはその思考に乗っ取られ、パソコンがフリーズするのも天気が悪いのも、自分のせいのような自己否定的考えに支配されがちなのが悩みだった。これを解決するのに有効なのが「注意のスポットライトを操作する」練習。落ち込んでいるときに楽しいことを考えようとしても難しいように、自分の中のどの思考に注意してスポットライトを当てるかを意図的に決めるには練習が必要なのだという。

 そこで本書にならい、1日に1回、感謝していることを3つ書き出すという習慣づけを行ってみた。内容は、仕事がスムーズに進んだ、家族が健康に過ごせた、朝飲んだコーヒーがおいしかったなど何でもいい。感謝していることを考えることで、脳が心を明るくするものに注意を向けやすくなるという。この習慣を続けていたら、落ち込む出来事に遭遇しても思考を操作しやすくなり、悪い考えに支配され続けることがなくなってきた。

 やる気が出ないときにはまず体を動かしてドーパミンの血中濃度を上げる、不安感を和らげるには吸う息より吐く息を長くするなど実践的テクニックが満載。一家に一冊あると助かるメンタル版家庭の医学だ。 〈浩〉

(河出書房新社 2002円)

【連載】毎日を面白くする やってみよう本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?