「争わない社会」佐藤仁著

公開日: 更新日:

「争わない社会」佐藤仁著

 21世紀は9.11同時多発テロで幕を開けた。アメリカとイスラム原理主義のような「二項対立的発想」があるためだが、著者はそれを超えて人間を結びつけたり引き離したりする力を「依存関係」という視点から考えてみた。

「依存」とは「ほかのものに頼って存在していること」だが、依存先の選択肢が限定されると与えられた状況に身を任せるしかなくなる。だが、依存先が複数のネットワークを形成していると、争いの原因になる他者の蔑視や排除に加担する可能性は低くなるのではないか。

 東洋史学者、宮崎市定はそれを、地上では違う形で現れるが共通の根を持つスギナとツクシに例える。

「開かれた依存関係」を提唱する文明論。

(NHK出版 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  2. 2

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  3. 3

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  4. 4

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  5. 5

    山尾志桜里氏“ヤケクソ立候補”の波紋…まさかの参院選出馬に国民民主党・玉木代表は真っ青

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  2. 7

    フジテレビCM解禁の流れにバラエティー部門が水を差す…番宣での“偽キャスト”暴露に視聴者絶句

  3. 8

    国分太一は“家庭内モラハラ夫”だった?「重大コンプラ違反」中身はっきりせず…別居情報の悲哀

  4. 9

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒