「奈落で踊れ」月村了衛著

公開日: 更新日:

「奈落で踊れ」月村了衛著

 1998年1月、大蔵省の官僚が金融機関から「ノーパンすき焼き店」で接待を受けていたことが発覚。多くの官僚がその店で接待を受けたが、89年入省組の磯ノ目らはある事情から自分たちが「人身御供」として処分されると気づき、同期で省内一の変人と評される香良洲に助けを求める。

 同期の進退には興味がない香良洲だが、疑惑の中心人物が元銀行局長で、現在の主計局長の幕辺だと聞き、応じる。香良洲は、次官候補でもある幕辺ら省内主流派が推し進める緊縮財政に異を唱え左遷され、本省に戻ってきたばかりだった。疑惑を利用して省内世論を変えようと考えた香良洲は、ノーパンすき焼き店が作っていたらしい顧客リストの入手に動き出す。

 実際の接待疑惑を舞台に描く官僚ピカレスク。 (朝日新聞出版 1045円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…