「地名の原景」木村紀子著

公開日: 更新日:

「地名の原景」木村紀子著

 古事記や風土記などの古い文献には、大昔の神々や王が巡幸や流離の道すがら「落として歩いた」行為や声が地名となり残っているという物語がしばしば見受けられる。文字がなかった時代、その「声」が消えないように物語を絡めて口から口へと伝えてきたのだ。

 地名には、こうした誰とも知れぬ人の初発の声が響き、それを呼び続けてきた人々の声が響き合って今に残っているのだと著者は言う。そうした原初の地名の「声」がどのように生まれたのかを考察したテキスト。

 地勢や地形を表す「ノ・ヤマ」(野山)や、「ヤマ・カハ」(山川)などの「原景語」にはじまり、滋賀県の「シガ」、日本にはいなかった珍獣の名がついた「犀川」など、地名を構成する言葉のもともとの意味を探り、在りし日の列島の姿に迫る。

(平凡社 1012円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 2

    自維連立に透ける実現不能の“空手形”…維新が「絶対条件」と拘る議員定数削減にもウラがある

  3. 3

    自維連立が秒読みで「橋下徹大臣」爆誕説が急浮上…維新は閣内協力でも深刻人材難

  4. 4

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  5. 5

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  1. 6

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  2. 7

    日本ハム1位・伊藤大海 北海道の漁師町で育った泣き虫小僧

  3. 8

    米倉涼子の薬物逮捕は考えにくいが…業界が一斉に彼女から手を引き始めた

  4. 9

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  5. 10

    影山雅永JFA技術委員長の“児童ポルノ逮捕”で「森保監督がホッとしている情報」の深層