明るく楽しく!老化と向き合うためのヒントをくれる本特集
「年とる力」阿川佐和子著
加速度的に進む社会の高齢化。長生きはしたいけど、健康や老後資金に対する不安は尽きることがない。そして、あれこれ悩んでいるその間にも、刻々と老化は進んでいく。そこで、今週は明るく、楽しく老化と向き合うためのヒントをくれる本を紹介する。
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「年とる力」阿川佐和子著
他人のシワには「人生の勲章よ」などと言いながら、自分のシワは「使い古した雑巾」にしか見えない。72歳となり、そんな肉体的老化を実感しながらも、年相応の落ち着きや貫禄は身につかず、精神がなかなか老成しない、いやむしろずっと小学生気分でいたいという人気エッセイストによる面白エッセー。
体のあちこちにガタがきているが、何よりも気を付けなければいけないのは50代のときにすでに医者から78歳の血管だと指摘された動脈硬化。食事や運動など、体にいいと聞けば試しているがなにせ続かない。そんな自分を受け入れ、「今日が楽しければ、それでじゅうぶんじゃないか」という心境に至ったと明かす。
さらに母親の遺品の着物を処分するのがもったいなくて始めた和装や俳句、ピアノなど新たに始めた70の手習いの話題から、老いていく体との向き合い方や死についてまで、「アガワ流」老いの迎え方を指南。
(文藝春秋 1045円)
「老いと死のことば」鈴木健一著
「老いと死のことば」鈴木健一著
「骸骨を乞う」という古語をご存じだろうか。漢籍の言葉で、その意味は「主君に捧げていた自分の体を返してもらうこと、つまり辞職とか引退を乞う」という意味だそうだ。日本でも古くから用いられ、続日本紀にも登場し、「仕事を成し遂げ、人生の感慨」とともに用いられてきたという。
老いも死も、体験できるのは一度しかない。だからこそ、老いや死に対して嘆くばかりでなく、前向きに取り組むために現代を生きる知恵が詰まった古語に学ぶ必要があると著者は説く。
ほかにも、芭蕉の門人の句にある「ぬけ初むる歯」や、古今集に読まれる「かしらの雪」(白髪)などの老いの自覚から、「ありのすさみ」(その人が生きているのに慣れてなんとも思わないこと)など別れの切なさ、「うす」など死を意味する言葉まで。
老いや死にまつわる古語を取り上げ、平安時代から江戸時代まで受け継がれてきたその用例を追いかけながら、古人たちの死や老いにまつわる思いや洞察を読み解く。
(岩波書店 1100円)
「老いの福袋」樋口恵子著
「老いの福袋」樋口恵子著
現在94歳の著者が、自らが直面した老いの「正体」を赤裸々に告白。その衝撃を受け入れながらも笑い飛ばして、残された人生を楽しく暮らすためのヒントをつづった生き方エッセー。
昨日までできたことが、今日はできなくなるなど、「老い」は思いがけないこと、初めてのことの連続。まだ70代半ばだったころ、地方の駅の和式トイレで用を足し、立ち上がろうとしたら、立てない! 壁に手すりもなく、狭くて身動きもできない。10分ほどの「死闘」の末、湿った床にトイレットペーパーを敷いて、両手をついて何とか立ち上がることができたという。そして80歳を境に何をするにもヨタヨタヘロヘロな「ヨタヘロ期」に突入。
そんな老いの現実を明かしながら、離れて暮らす友人親子が実行するお風呂の前後に連絡を取り合う「お風呂コール」や、妻を亡くし1人暮らしになった男性が入った安心・安全のための3つの人間関係の「保険」、さらに老後資金の話まで。転ばぬ先の「知恵」が満載。
(中央公論新社 1100円)
「老いるショック大賞」みうらじゅん編
「老いるショック大賞」みうらじゅん編
深夜ラジオのノリで、寄せられた読者からの老いの体験を紹介しながら笑いに昇華させる一冊。
「『ちり紙』が通じない。だから『ちり紙交換』も通じない。20代の子に『ちり紙と何を交換するのですか?』と質問された」(ようちち.49歳)との投稿には「そもそも紙の文化が絶滅しかけてるわけで、特にちり紙などは若者に通用しなくて当然なのかも。もう、ここは『激辛料理の一種』と言っておくのがいいかも知れませんね」とコメントするといった具合。
ほかにも「久々の友人とのランチ、マスクが汚れないように口紅は出先でつけようとテーブルでそっとバッグを開けたら、入っていたのはシャチハタだった」(ぐんまのみぃさん.78歳)や、「家で使っている空気清浄機に私が近づくと、なぜか臭いレベルがマックスの赤になります」(信一.65歳)など。
共感したり、まだそこまでではないと安心したり。みうら氏のコメントに励まされ、明日を生きる元気が湧いてくる。
(筑摩書房 1540円)



















