記者らが伝えるニュースの裏側にある生きた現実

公開日: 更新日:

 監督もナレーションで「通信途絶で、みな憔悴している。我々もそうだ。取材を社に送る手段がない」とつぶやく。

 監督のチェルノフ記者は自身もウクライナ人。それゆえ取材対象に向ける目は単なる同情にとどまらない。よるべない人々を残して、取材映像を届けるために安全な外部に脱出する躊躇と葛藤を彼は何度も口にする。

 報道人ストレス研究会編著「ジャーナリストの惨事ストレス」(現代人文社 2090円)は日本では阪神・淡路を機に、惨事取材の記者のストレスが従来の「受け手・送り手」の二分法に収まらなくなったと指摘する。自国が侵略された戦争であればなおのこと、「記者」と「被害者」の二重性に苦しむのはむしろ当然というべきだろう。 〈生井英考〉

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」