「美味しい落語」吉川潮著

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「美味しい落語」吉川潮著

 著者は寄席で先代柳家小さんの「時そば」を聴くと、たまらなく蕎麦が食べたくなり、いつも帰りに蕎麦屋に寄った。ただ、昼席ならいいが、終演が9時前後になる夜席の場合、蕎麦屋は閉店時間が早いので閉まっている店が多い。寄席の客のために営業時間を延ばしてほしいものだ。

 林家木久扇が木久蔵だった頃やった「目黒の秋刀魚」は傑作だった。お殿様を長谷川一夫、秋刀魚を食べさせた百姓の老爺を林家彦六の声色で演じたのだ。業界では「邪道」と評されたが、著者が新聞の演芸欄に「客が大喜びしているのだから評価されてしかるべき」と書いたら、木久蔵は大喜びだった。

 演芸評論家が食べものが出てくる噺を紹介する。

(飯塚書店 1540円)

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