「遊行期」五木寛之著

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「遊行期」五木寛之著

 本人が意識していようがいまいが、ヒトはある年齢に達すると必ずボケる。アルツハイマー型の認知障害は別として、「ちょっとボケが入ってきた」程度のボケかたは、体力の衰えと同じく自然のことだと92歳になった作家は言う。むしろボケはやがて死を迎える人間への貴重な贈り物かもしれないとも。

 どうせボケるなら、人もうらやみ自分も納得できるようなボケかたをしたい。本書はこれまで否定されてきたボケを人間の運命として受け入れ、高齢期をさらによりよく過ごすための「技法」を説いた生き方エッセー。

 ボケを受け入れる発想は、仏教の死を受け入れる発想と同じようなものだという。90歳まで生きた親鸞の人生などを紹介しながら、ボケの概念を覆し、よりよいボケかた、上手な生き方を説く。 (朝日新聞出版 990円)

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