「流されゆく日々」12000回記念 五木寛之さん×日刊ゲンダイ対談(前編)

公開日: 更新日:

 1975年の創刊第1号のときから「流されゆく日々」を執筆、49年目の今年12月2日に12000回を迎え、五木氏と寺田社長による記念対談を行った。たった1回の休みもなく書き続けてきた秘訣から、執筆スタイルまで「流されゆく日々」の舞台裏を語った。 

  ◇  ◇  ◇

寺田 12月2日に五木さんの「流されゆく日々」がついに12000回を迎えました。日刊現代の創刊が1975年で、創刊の第1号のときからこのコラムを書いていただいてますから49年です。改めてすごい年数、連載回数だなと驚いています。

五木 僕はつい今年の夏まで、戦後何十年にわたって病院に行ったことがなかったんですよ。ほとんどもう病院に行かずに戦後を過ごしてきたんですけど、その健康の秘訣に、いや全然健康じゃないんだけど毎日、日刊ゲンダイに書かなきゃいけないっていうのがあるんですね。寝込んだり入院したり、いろんなことがあっても、連載を休むわけにはいかない。最初の頃は、ちょっとストックもありましたが、20年くらいでスタイルが決まりました。毎日、1日3枚、ギリギリ深夜0時までに書く。それが生活のリズムになってきたんです。

寺田 創刊から20年経った頃ですね。それまでは取材旅行のために書きためたりも?

五木 往復書簡だとか、いろんなものを雑に載せてたんですけど、この何十年かは自分一人の日記のような形で書いてきたのです。

寺田 先生は病院に行ったことないとおっしゃいますが、もちろん体調が悪かったときもあるんですよね。実際、熱っぽかったりお腹が痛いとか。

五木 そういうことはしょっちゅうあります。もうこの年になると、さみだれ式にいろんなものが出てきますしね。だけど、僕はゲンダイのおかげで今日までやってこられたんじゃないかと思うんですよ。とにかく、書かなきゃいけないんだという気持ちの張りというか、そういうものがあったことで今日まで大過なくきたんじゃないかと。だって、盲腸だとか交通事故だとか、ありえますよね。でもそうなってくるとストックがないから、どうしても原稿が落ちます。そんなことは絶対にできない。偶然の事故でも避けなきゃいけない(笑)。病気も事故もケガも乗り越えて支えてくれる一番大きな杖になっているのがこの「流されゆく日々」なんです。僕は作家ではありますけれども、この仕事が自分のライフワークの一つだと思ってやってきた。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  2. 2

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  3. 3

    国分太一が無期限活動休止へ…理由は重大コンプラ違反か? TV各局に全番組降板申し入れ、株式会社TOKIO解雇も

  4. 4

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題か...大谷の“献身投手復帰”で立場なし

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    進次郎農相の化けの皮ズルズルはがれる…“コンバイン発言”で大炎上、これじゃあ7月参院選まで人気持たず

  3. 8

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    「育成」頭打ちの巨人と若手台頭の日本ハムには彼我の差が…評論家・山崎裕之氏がバッサリ