「あの日の風を描く」愛野史香著

公開日: 更新日:

「あの日の風を描く」愛野史香著

 稲葉真は京都にある美大の油画科の学生だが、現在、休学中である。そんなとき、従兄の稲葉凜太郎から、狩野探幽の血縁の平野雪香の描いた襖絵の復元模写制作の手伝いを頼まれた。1日仕事かと思ったら半年以上はかかるという。

 真の父は古典模写制作者だったが、中国の石窟壁画調査中の事故で亡くなった。京楽造形芸術大学に行くと、父と一緒に模写事業をしたという人見奎教授が、父の一途な姿勢を見て、現代に生まれた幸福に気づかされたと言った。現代作家としての知名度がなく、模写で得られる幸福とは? 真は、父の人生は徒労に終わったと確信していたのだ。

 創作の苦悩を描く青春小説。 (角川春樹事務所 1650円)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  2. 2

    帝釈天から始まる「TOKYOタクシー」は「男はつらいよ」ファンが歩んだ歴史をかみしめる作品

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  5. 5

    立川志らく、山里亮太、杉村太蔵が…テレビが高市首相をこぞってヨイショするイヤ~な時代

  1. 6

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  2. 7

    森七菜の出演作にハズレなし! 岡山天音「ひらやすみ」で《ダサめの美大生》好演&評価爆上がり

  3. 8

    小池都知事が定例会見で“都税収奪”にブチ切れた! 高市官邸とのバトル激化必至

  4. 9

    西武の生え抜き源田&外崎が崖っぷち…FA補強連発で「出番減少は避けられない」の見立て

  5. 10

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ