石川智健(作家)改めて感じる書店員の仕事の大変さ
5月×日 仕事帰りに書店へ。新刊の文芸書をチェック。世の中のあらゆるものの価格が高騰している中、書籍も例外ではない。小説家を生業にしていて、読むことは半ば仕事ではあるが、書籍の値段が高くなったなと切実に思う。「もともとが安かったんだ」という声もあるし、諸外国に比べて日本の書籍価格は安いというデータも目にしたが、可処分所得を考えると購入冊数に躊躇が生まれる。いつもより1冊少なく購入。今住んでいる街の最寄り駅周辺には書店が4店舗あり、とても恵まれた環境だ。書店の客入りは変わらないように思えるものの、実際にレジに並ぶ人は減っている気もする。SNSで気になった大塚真祐子ほか著「書店員の怒りと悲しみと少しの愛」(knott books 2090円)を購入。突き刺さる言葉の数々──書籍や読書というものが知的産物として見なされているせいか、書店がシット・ジョブであることに言及する人は少ないどころか、むしろタブーのように思われている節があると感じる--など、書店員・元書店員の言葉がつづられている。大変な仕事なのだと改めて感じる。飯田一史著「町の本屋はいかにしてつぶれてきたか」(平凡社 1320円)をひもとくと、もともと本屋が安泰だった時代など存在しないという言葉が目に飛び込んできた。利益率が厳しく、書店業単体では儲からず、つねに兼業先が模索されてきたようだ。書店の閉店の話も頻繁に目にするようになった。小説家の初版部数も削られ、重版も渋い。酒を飲んで気を紛らわせる。
5月×日 高輪ゲートウェイ駅にできた書店に訪問。迷いつつ、洒落た書店内を散策。そこで働く仲の良い書店員さんに取材。「ゾンビ3.0」(講談社 990円)という小説を出した頃に、書店でフェアを組んでくれた方で、大変ありがたかったが、今になって思えばPOPや小冊子制作など、時間外の作業も多かったのだろう。少しの愛で踏ん張っている書店員の方々。そこに胡坐をかいていないか自問し、自分にできることを考える。



















