「けんぐゎい」朝倉かすみ著

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「けんぐゎい」朝倉かすみ著

 主人公は、6歳のときにかかった重い疱瘡のせいで、体中に痘痕が残った娘・ふゆ。利発で物覚えも良いふゆだが、その外見のせいで将来を期待されず、生きていくための一助になればと10歳で手習い師匠の疋田重右衛門のところに手伝いに出された。

 滞りなく勤めを果たしていたふゆだったが、重右衛門のもとに宗三郎が養子に入ったことで運命が変わり始める。一見物腰が柔らかく人当たりが良い宗三郎は、その内面に恐ろしい性癖を隠していたのだ。重右衛門が亡くなった後、ふゆは宗三郎に手籠めにされて妊娠。追い出された先で、現人神と崇められていたある女医者と出会う……。

 本書は、「平場の月」で話題を呼んだ著者による初めての時代小説。表題の「けんぐゎい」とは、圏外つまり普通の外側に追いやられた周辺を指す。

「いかなる理由や働きかけや脅しがあろうとも、女は産まされてはならぬのである。それと同じく、いかなる理由や働きかけがあろうとも、産めないことがあってはならぬのである」と語る女医者との出会いによって、生きる道を定めた主人公の苦闘と成長を丁寧に描いている。

 (光文社 1980円)

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