ユーレイより恐ろしい⁉ ダークな心を描く本特集(2)可哀想という感情の裏のグロテスクさを描く
「可哀想な蠅」武田綾乃著
隙間時間にも手に取りやすい文庫本。短編集であれば著者の魅力が凝縮された何編もの物語が楽しめるため、満足感も高い。今回は、実在の結婚詐欺事件を材にしたものから心をえぐる物語まで、ダークな4冊をピックアップ。本格的な読書の秋が来るまでの肩慣らしにいかが。
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「可哀想な蠅」武田綾乃著
芽衣子がSNSに投稿した動画が大バズリする。捨て猫が入った段ボールを、男が蹴り続けている様子を盗撮したものだ。男を非難するコメントがあふれる中、同一人物から芽衣子を“偽善者”と非難する書き込みが連投される。相手のアカウント名は「パブロフ康成」。SNSで誰彼構わず暴言を吐くことで有名で、多くのアカウントからブロックされていた。
しかし芽衣子は、彼を惨めで可哀想だと思い、ブロックしなかった。檻の中の珍獣を安全なところから眺めるように、スマホの中で飼ってやろうと思ったのだ。(「可哀想な蠅」)
子供の頃に仲の良かった隣人が、可哀想な人だったことを大人になって理解してしまう……(「まりこさん」)、DVを受けていた可哀想な詩乃を助けた麻希だが、2人の関係に奇妙な変化が生まれ……(「呪縛」)など、心の暗部がさらされる短編集。 (新潮社 693円)


















