困難と闘いながら生きるHIV陽性の女たち「女たちのミャンマー」三木知子著

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「女たちのミャンマー」三木知子著

 ミャンマー南東部のモン州で暮らすHIV陽性の女性たちを取材したフォトルポルタージュ。

 登場するのは、差別や貧困などさまざまな困難にさらされながらも、HIVと向き合う中で自分らしい道を見つけた女性たちだ。

 そのひとり、イーイーカインは元セックスワーカー。16歳で結婚し、1年後に出産するが、ほどなく夫が脳溢血で急逝し、生活が困窮。さらに子どもがポリオにかかり、その治療費を工面するためにセックスワーカーとして働き始めた。そうするしか生きるすべがなかったからだ。

 数年後、客がエイズで亡くなり、自身の感染も疑ったが、恐怖から検査を受けることができなかったという。

 そんな彼女に寄り添い、検査を受けるように説得したのがセックスワーカーを対象にHIVの予防・啓発活動をしている現地のNGOだった。

 同団体の活動の中心を担うのは、同じ仕事の経験を持つピアと呼ばれる女性たちだ。ミャンマーでも売春は違法でNGOの職員が店を訪れても中に入ることはできないが、かつてその店で働いていたピアだけはオーナーからの信頼もあり、店内に入ることができるのだ。

 治療により回復し、現在はピアとして活動に取り組むイーイーカインに同行。

 町から車で30分ほどの漁村は、ヤシの葉で葺いた簡素な家が並び、そのぬかるんだ道を進むと、マ・カインという女性が営む漁師や船乗りを相手にする売春宿が現れた。

 店で働くマ・カインの娘の29歳と16歳の姉妹ともう1人の女性を前に、「私もあなたたちと同じ仕事をしていました」と自己紹介をして、病気の予防方法について説明をする。

 姉妹には基本的な知識があったが、もう1人の女性はほとんど何も知らない様子だったという。

 さらに、具合の悪い女性がいると聞いて会ってみると、イーイーカインは一目見てHIV陽性の可能性を疑い、すぐに検査を手配。自身も陽性で、薬を飲み続けることで健康を取り戻したと伝える。

 話を真剣に聞いていた女性は後日、検査で陽性と判明するが、治療が始まる前に亡くなってしまったという。

 その現実を目の当たりにして、治療を始めたマ・カインの娘で16歳のピョーピョーなどその店で働く女性たちをはじめ、乳飲み子のときに両親に捨てられ13歳で売春宿に置き去りにされて感染したトランス男性(性自認が男性)のザニーとその恋人のミャンノォ、夫と娘もエイズで亡くしたタンタンティン、母子感染したが養父母の理解がなく治療を始められない16歳のサンモン、血のつながらない母子感染の2人の男の子と暮らす自身も感染者のピューピューエイらのこれまでと現在をリポート。

 タナカと呼ばれる木の樹皮からつくられた日焼け止めを塗った彼女・彼たちの素顔が読者に多くのことを語りかけてくる。

(東京印書館 2970円)

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