両親が蒸発…TVで落語を初披露した桂雀々の中2時代

公開日: 更新日:

「その日の審査員は藤本義一先生、香川登志緒先生、それに6代目の笑福亭松鶴師匠。出番は5番目の大トリです。会場のSABホールは子供の登場にドッと沸き、歓声が上がった。結果は、藤本先生、香川先生がそれぞれ3枚、松鶴師匠が4枚で、司会の凡児先生まで<おじさんからも2枚あげよう>ってゆうてくれて。合計1万2000円でチャンピオンですわ。当時は一番かわいそうな時代です。母親は蒸発し、僕に刃物を向けて心中しようとした父親まで借金を残して逃げた。夜な夜なやってくる取り立てのアンチャンにおびえながら、近所の人に支えられて、独りぼっちでなんとか生きとったころ。それやのにチケットまでもろてタクシーで帰った。友達と近くの寿司屋でお祝いです。芸は身を助くですな。ただ、支払いがあるから、必要な分は残しときました。主婦と同じ感覚ですわ」

■中1でテレビデビュー

 テレビのデビューはその1年ほど前、中学1年生の時である。

「会員になってスタジオ観覧する『わいわいワイド』ゆう番組がありましてね。当時の大阪では珍しく、新ご三家や中3トリオといったスターを生で見られるわけです。会員番号は忘れもしません2万7091番。番組は、観覧の子供に前説で芸をさせ、Tシャツやグッズをプレゼントしてましたな。僕も、うろ覚えのブルース・リーをモノマネして笑いを取った。このときですわ、人前で何かをやる快感を覚えたんは。しかも、オープニングで、その日のゲストやった西城秀樹さんの隣で『チャンスは一度』を歌った。これが生放送で流れたわけです。舞台度胸がついたし、テレビに出る味わいも知り、クセになりましたわ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋