上半期は特番5本 TV局が頼るテレサ・テン没後20年の底力
今年が没後20年の節目だとしても、この回数の多さは、やっぱり人気の証明か。テレサ・テン(享年42)の特番が相次いで放送されている。6日もBS朝日が「没後20年 メモリアル」を放送していたが、ここまで、今年上半期だけですでに5本。6月にBSジャパンが「メモリアルコンサート」、5月にはNHK-BSプレミアム、BSフジ、BSジャパンが特番を組んでいて、2月にもBS朝日が「不滅の歌声」を放送していた。テレビはどうしてそんなにテレサが好きなのか。
「歌の人気はもちろんですが、79年には偽造パスポート事件を起こしたり、42歳での急死もナゾに満ちている。さらに真偽不明のスパイ説まで飛び交っていて、特番として作りやすいこともあるでしょう」(テレビ関係者)
たしかにミステリアスではあるが、なにしろ没後20年だ。今さら新事実が出るわけもない。やはり、歌の力ということか。芸能評論家の肥留間正明氏が言う。
「僕は75年ごろ、彼女にインタビューしたことがありますが、その日本語のうまさ、人柄の誠実さに驚かされました。ひとつひとつの質問を流すことなく、ジックリ答えてくれたのです。すでにアジアの大スターだったのに、単なる“出稼ぎ”ではなく日本に本気で溶け込もうとしていたと思います。歌声の繊細さはもちろん、歌に込める情感も日本の歌手以上に日本人らしかった。そういう部分が20年経った今でも日本人の心に響くのだと思います」
最近ではフィギュアスケートの浅田真央が休養中にテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」に励まされていたと語るなど、若い世代にも受け入れられている。
テレサ・テン、永遠なり――。