脱北テーマ映画の監督が語る 国家に壊される庶民のリアル

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 ――中国からラオス、バンコク経由での亡命も、撮影は危なかったのでは。

「そうですね。12人くらいのグループでの行動だったのですが、真っ暗闇の山中を10時間以上、歩きっぱなしで、誰ひとり休もうとしないのですから、体力も限界ぎりぎりでした。ただ、マダムはなけなしの食料、自分のリンゴや水まですべて均等に仲間に分けるんです。私もその一人に加えてもらったから、生き延びることができた。マダムには、ああした窮状を世界に知らしめたいという思いがあったのでしょう」

 ――命からがら亡命し、ソウルに着いても、念願の家族揃った暮らしは幸せには見えません。

「今度は韓国でスパイ容疑をかけられたりしますからね。売り飛ばされた先とはいえ、中国で自分を送り出してくれた夫や義母のことも心配で、どうにもならない。そういうことに追われ、幸せかどうかなど考える余裕はないのです」

 ――共謀罪などによる監視社会が目前の日本で、見て欲しいところは。

「大きく言うと、国家という巨大なシステムが、何の罪もない平凡な庶民の生活をぶち壊していること。そんな現実があるということです」

 10日(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。

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