評論家が指摘 セカオワ藤崎彩織「ふたご」と直木賞の奇縁

公開日: 更新日:

 前出の中森氏が言う。

「セカオワにはデビュー間もない頃から興味があったのですが、雑誌の特集や『情熱大陸』で取り上げられる彼らを見ても、なぜ爆発的に売れるのかが分からなかった。セカオワに限らず、なぜ前田敦子指原莉乃がAKB48のトップなのか。当事者の思い込みに加え、周囲が支持し、それを支えるファンの応援は必要不可欠ですが、それらがムーブメントを起こすカリスマを生む科学的根拠にはなりません。ですが、『ふたご』を読んで伝わってきたのは恋人でもなければ、単なるバンド仲間でもない、かつてない関係の男女が精神的なつながりを持って、ひとつの新しいカルチャーを生み出したのだということ。狂気的な衝動や本気の思い込みによって世界が変えられることを物語としてリアリティーをもって実にうまく描かれていると思います」

■第1回受賞作「鶴八鶴次郎」とソックリ

 直木賞候補全5作品のうち、ノミネート経験者は3人と“激戦”だが、中森氏は「ふたご」と直木賞に「運命的なものを感じる」とも話す。


 今年6月、第1回直木賞受賞作の「鶴八鶴次郎」(川口松太郎著)が光文社時代小説文庫にて40年ぶりの復刊を果たし、一部文芸ファンの間では「よくぞ」という歓喜の声が上がった。のちに映画化もされた「鶴八鶴次郎」はケンカ別れを繰り返す男女芸人同士の物語で、「くしくも『ふたご』と作風が似ている。第1回の受賞作が賞の性格を決めるとはよく言ったもの。復刊とノミネートのタイミングが一致したことにひとつの縁を感じます」(中森氏)。

 受賞作は来年1月16日に発表される。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 2

    ドジャース大谷が佐々木朗希への「痛烈な皮肉」を体現…耳の痛い“フォア・ザ・チーム”の発言も

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希は「ひとりぼっち」で崖っぷち…ロバーツ監督が“気になる発言”も

  4. 4

    巨人に漂う不穏な空気…杉内投手チーフコーチの「苦言連発」「選手吊るし上げ」が波紋広げる

  5. 5

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の才能腐らす「メンタルの病巣」…マイナーでの大炎上にロバーツ監督もバッサリ

  2. 7

    「ブラタモリ」抜擢の桑子真帆アナ “金髪チャラ系”の大学時代

  3. 8

    中丸雄一に"共演者キラー"の横顔も…「シューイチ」で妻の笹崎里菜アナも有名女優もゲット

  4. 9

    コロナ今年最多の患者数…流行株「ニンバス」知っておきたい症状と対策

  5. 10

    「あんぱん」今田美桜の“若見え問題”も吹き飛ぶ!ミセス大森の好演と美声で終盤も激アツ