政財界とも結びつき深く…故・浅利慶太さんの「功と罪」

公開日: 更新日:

 元劇団四季代表で演出家の浅利慶太氏が13日、悪性リンパ腫のため亡くなった。享年85。

 今年4月に上演された浅利演出事務所公演「李香蘭」の関係者向け公開ゲネプロでは長椅子に横になりながら声を振り絞ってダメ出し(役者への注意)をしていた。

 毀誉褒貶の多い人物だったが、その功罪は演劇界のみならず政財界にも及ぶ。「功」として挙げられるのは、日本の演劇界を活性化させたこと。

 1953年に劇団四季旗揚げ。最初はジロドゥやアヌイらのフランス演劇が主だったが、転機となったのは、四季ミュージカルの原点ともいうべき「キャッツ」(83年)。それまでの日本の演劇はせいぜい1カ月公演が限度だったが、欧米式のロングラン方式を取り入れた。つまり、客が入り続ける限り公演を行った。「キャッツ」は12カ月ロングランという偉業を達成した。そのことで劇団の財力が安定し、劇団員が演劇だけで生活できるという成果をもたらした。今でも、演劇だけで食べていける俳優・スタッフは皆無といっていい演劇界において、大きな「功」といえる。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ