著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

大杉漣さん主演作が盛況 映画「教誨師」に込められた思い

公開日: 更新日:

 この2月に亡くなった大杉漣さん主演作の「教誨師(きょうかいし)」がヒットしている。6日の公開以降、都内の有楽町スバル座では満席の回も出ており、満面に笑みを浮かべて喜んでいるであろう大杉さんの姿が目に浮かんでくる。

 大杉さんは、死刑囚と定期的に面談をする教誨師を演じる。本作の教誨師は、クリスチャンの牧師でもある。対する死刑囚は6人。映画は、教誨師と死刑囚の2人の対話でほぼ全編が進む。余分な話、描写がほとんど入り込まず、全く大胆な構成である。

 死刑囚は皆、さまざまな思いを抱いて教誨師と会話をする。2人がそれぞれ話を続けていくうちに、おのおのが犯した罪の茫洋とした形と現在の考え方、接し方などが見えてくる。ただ、罪の具体性はわからない。罪の具象は観客の想像力に委ねていくから、通常の犯罪劇とはまるで違う。

 だから、次第に俳優陣の演技そのものが、映画の中心点にくることがわかってくる。大杉さんと烏丸せつこ、光石研、古舘寛治らベテラン勢が繰り広げる緊迫感あふれる演技からは、演じることの原点が詰まっているかのような印象を受けた。

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