著者のコラム一覧
髙橋隆

1949年1月生まれ。学生時代に「走れコウタロー」で知られる「ソルティー・シュガー」の一員としてデビュー。大学卒業後はディレクターに転身し、ビクターエンタテインメントやテイチクエンタテインメントで数々のヒット曲を生み出す。代表作は「ダンシング・ヒーロー」「襟裳岬」「てんとう虫のサンバ」「白いギター」など。現在はフリーの音楽プロデューサー。

森進一「襟裳岬」<後> A面かB面かで意見が真っ二つに

公開日: 更新日:

「襟裳岬」(1974年)

 思いつきの企画が通って生まれた「襟裳岬」。作曲の吉田拓郎から届いたデモテープは、ものすごくテンポが速かった。これでは森進一の良さが出ないと私が取った策は、テンポを極端に落とすことでした。アレンジャーに「もっと遅く、遅く!」って。

 そして歌入れの当日。伴奏用のカラオケを聴いたとたん、森進一は「こんなんじゃ歌えない!」って怒り出しました。そりゃそうです。もともとのテンポの速いデモテープを聴いて練習して来てるんですから。その場にいた吉田拓郎もひっくり返ってましたね、なんじゃコリャ(!)って顔で。

 でも結果的に良かったと思いますよ。しかも使ったテークはほとんどがテストで歌った仮歌。まだ歌詞がうろ覚えなので、感情がこもり過ぎてないのが、前半の情景描写には良かったからです。でも、サビの部分はさすが、情感たっぷりに歌い上げて、見事でしたね。

 さて、苦労したのはその後。私や森進一本人、当時所属してたナベプロの渡辺晋社長は「襟裳岬」推しだったのに、ビクターの社長は「世捨人唄」が良いって譲らない。当時はレコード会社の力も強かったですからね。

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