木久蔵「ほめて下さい。僕はほめられて育つタイプなんで」

公開日: 更新日:

 私も演芸評論家として「木久蔵の息子」に注目していた。父親とはまた違った「坊ちゃんキャラ」で面白いと。

 1999年、二つ目に昇進。同じ落語家ジュニア仲間である林家いっ平(現三平)と2人で昇進披露の会を開いた。その夜遅く、会を見に行った私のところに木久蔵から電話があった。「今日は来ていただいてありがとうございました」まではよかったが、その後がふるっている。「今日の僕の落語、ほめて下さい」と言うのだ。普通は「いかがでしたか」と評を求めるものだが「ほめて下さい」とは驚いた。

「先生にほめてもらえば自信がつくと思って。僕はほめられて育つタイプなんで」

 私はきくお君のよかったところを懸命に思い出してほめてあげた。

「『疝気の虫』の虫がよかったってほめていただきました。うれしかったです」

 こういう屈託のなさが気に入り、以来、私は木久蔵をほめるようにしている。

 2007年、きくおは入門11年で真打ち昇進を果たす。父親の喜び、いかばかりか。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋