特別編<3>好きな女優こそメインで使わないことも多かった

公開日: 更新日:

碓井 そして、東宝出身の水野久美さんも新たにレギュラー陣に加わります。僕らの世代にとっては昭和40年代の東宝特撮映画のヒロインできれいなお姉さんでした。

倉本 水野久美さんは俳優座の養成所にいて、僕が俳優座のスタジオ劇団「仲間」にいた時に親しかったやつが彼女を連れてきた。個性の強い美少女でしたが、実はね、僕はひし美ゆり子さんのファンだったんですよ。

碓井 えっ、そうなんですか(笑い)。ひし美さんといえば「ウルトラセブン」のアンヌ隊員ですが、倉本ドラマには出ていないと記憶しています……。

倉本 女優の個性にもよりますが、好きだからこそ起用しなかったり、メインキャストとして使わないことは多かったような気がしますね。たとえば、主人公が落ち込んで屋台で飲んでいると、たまたま近くのトルコ(ソープランド)で働いている女がやってきて話をする。そのトルコの女を相手に成り行きで大事なものを賭けちゃったりする。そういう役に起用していました。

碓井 逆に見る側の印象に残ったりするんですよね。

倉本 まさに、風吹ジュンや児島美ゆきもそんな感じ。そういう使い方のほうが大きな役よりも個性を出せる。ひし美さんは僕の頭の中に“財産”として常にストックされていましたね。 (つづく)

(聞き手・碓井広義 文・山田稔)

■読者プレゼント

 昨年1月から5カ月間にわたって本紙で連載した「ドラマへの遺言」が待望の書籍化! 今月15日の発売を記念し、倉本聰・碓井広義著「ドラマへの遺言」(新潮新書)を小紙読者10人にプレゼントします。
 希望者はハガキに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号、特別編各回のキーワード(全5文字)を順に明記して単語を完成させ、〒104―8007 日刊ゲンダイ「ドラマへの遺言」本プレゼント係まで。2月15日の消印有効。賞品の発送をもって当選者の発表に代えさせていただきます。第3回のキーワードは「ノ」。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー