著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。2019年、「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixで映像化配信され大きな話題に。最新刊に、「東京降りたことのない駅」(大洋図書)、「全裸編集部」(双葉社)などがある

堀江しのぶ死後…内情は火の車だった村西とおると野田社長

公開日: 更新日:

 事務所唯一の稼ぎ頭だった堀江しのぶの夭逝によって、野田義治は窮地に追い込まれた。

 経済的ピンチを救ったのは村西とおる監督だった。村西とおるが経営する芸能人イメージビデオ制作会社、パワースポーツのプロデューサー・監督として野田は毎月のように仕事を発注され、プロデュース料として最低でも毎月300万円を現金で村西とおるから手渡された。

 バブルを体現したかのような村西とおる監督とその会社、パワースポーツであったが、実は世間がバブルに浮かれる1988年、内情は火の車だった。

 パワースポーツは、膨大な制作費をかけてキャンペーンガールや11PMのカバーガールなど、派手なキャスティングを行ってきた。ところが出航したばかりの会社だったので、利益を生み出すところまではいかなかった。

 パワースポーツともうひとつ、ダイヤモンド映像というAVメーカーを村西とおるがこの年立ち上げたものの有力新人を発掘できず、売れ行きは低迷していた。

 17歳の少女が姉の健康保険証を自分のものだと偽ってAV出演し、未成年をAVに出演させたとして児童福祉法違反で村西とおるが逮捕された。未成年だとわからなくても、監督保護するのが成人の役目だということで大人が罰を受けるのだ。村西とおるは謹慎を余儀なくされ、ダイヤモンド映像は若手の日比野正明、ターザン八木といったサンドバッグ軍団と外部のフリー監督が制作した。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党が消せない“黒歴史”…党員がコメ農家の敵「ジャンボタニシ」拡散、農水省と自治体に一喝された過去

  2. 2

    極めて由々しき事案に心が痛い…メーカーとの契約にも“アスリートファースト”必要です

  3. 3

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  4. 4

    ドジャース大谷翔平がついに“不調”を吐露…疲労のせい?4度目の登板で見えた進化と課題

  5. 5

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  1. 6

    清水賢治社長のセクハラ疑惑で掘り起こされるフジテレビの闇…「今日からシリケン」と“お触り続行”の過去

  2. 7

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育

  3. 8

    千葉を「戦国」たらしめる“超過密日程”は今年の我が専大松戸に追い風になる手応えを感じています

  4. 9

    趣里はバレエ留学後に旧大検に合格 役者志望が多い明治学院大文学部芸術学科に進学

  5. 10

    参政党が参院選で急伸の不気味…首都圏選挙区で自公国が「当選圏外」にはじかれる大異変