著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。2019年、「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixで映像化配信され大きな話題に。最新刊に、「東京降りたことのない駅」(大洋図書)、「全裸編集部」(双葉社)などがある

自腹でCD購入 “歌手・かとうれいこ”を全力でバックアップ

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 堀江しのぶのスカウトで一躍、芸能界の新星となった芸能事務所イエローキャブと野田義治代表。

 だが堀江しのぶはスキルス性胃がんによって23歳の若さで急逝した。稼ぎ頭の死によって、野田義治は窮地に立たされる。

 野田は本業のプロダクション経営と同時に、イメージビデオを毎月発売するパワースポーツというビデオメーカーで、プロデューサーとして活動し、毎月300万円以上の報酬を得るようになった。闘病中だった堀江しのぶの医療費や生活費をまかなう貴重な収入源になった。パワースポーツを率いるのは、ダイヤモンド映像というメーカーを率いるAVの帝王、村西とおるだった。

「村西監督と野田さんは、大人同士、気が合う仲でしたね」

 ダイヤモンド映像の助監督・ターザン八木が証言する。

 秘蔵っ子の堀江しのぶが急逝した後、絶望の淵にいた野田義治だったが、埼玉県の短大生、かとうれいこをスカウトした。気品に満ちた顔に細身の体ながらふくよかな乳房。

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