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一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

小説には痛みと苛立ちが必要…恥をかく覚悟はあるのかい?

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 要は物書きを目指してなったわけでもなく、いまもこの紙面でつらつらと我が身の宣伝をするような男なので、作家志望の青年へのアドバイスと言われても困る。困るのだが欲しいというので言うと、特に小説は才能だけでも感性だけでも書けないように思う。そこには経験が必要だったりする。痛みとか苛立ちだ。痛みは我が身だけでなく相手に与えてしまった経験だったりもする。ともあれ愚か者の言う言葉だからあまり信用しないでほしいが、それでも21歳の青年は物書きになりたいと言うので一言送るのであれば、「恥をかく覚悟はあるのかい?」という言葉である。

(つづく)

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