著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「松本人志とお笑いとテレビ」(中央公論新社)などがある。

マヂカルラブリーはM-1で漫才の可能性を切り開いた革命児

公開日: 更新日:

 たしかに、19年のミルクボーイをはじめとして、これまで「M―1」で優勝してきたのは正統派の漫才師が多い。マヂカルラブリーのような変則的な芸風の芸人が優勝したのは初めてのことだ。

 好き嫌いがはっきり分かれる芸風だったからこそ、その面白さが理解できなかった人たちが不満の声を漏らしているのだろう。そういう論争が巻き起こること自体が、「M―1」という大会の影響力の大きさを示している。

 あのダウンタウンでさえ、若手の頃に横山やすしに「おまえらがやってるのは漫才やない。チンピラの立ち話や」と酷評されたことがあった。

 新しいものは常に否定される運命にある。マヂカルラブリーにこれだけ賛否両論の声が渦巻いているのも、彼らがそれだけ革新的な試みをしているからだ。

 少なくとも、彼らのネタは「M―1」の会場でうねるような大爆笑を起こし、プロの審査員による審査で優勝と認められた。これらの事実の前にあっては、漫才かどうかという議論は些末なものに過ぎない。

 誰がなんと言おうと、マヂカルラブリーは漫才の可能性を切り開いた革命児なのである。 (つづく)

【連載】2021新春「笑」芸人解体新書

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…