立岩陽一郎
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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

免許事業である放送が厳しい現状を乗り越える道は2つある

公開日: 更新日:

 この3月末にはフジテレビ系の「とくダネ!」も終わる。これも22年続いた番組だ。2つの番組の終焉に共通点があるとすれば、テレビとはどうあるべきかという制作者の試行錯誤の結果ということだ。テレビ(放送)がメディアの主役の座をネット(通信)に譲ろうとしている時、テレビはどうあるべきかを制作者は寝る間も惜しんで考えている。期せずして、この2つの番組に出演していた私には、それが痛いほどわかる。

 そうした中で、一連の総務省の接待問題を見ると、その汚さの本質が見えてくる。菅総理の長男が総務省との接待係を務めていたと指摘される東北新社。その「活躍」によって外資規制違反を見逃されていただけでなく、抜け道を用意してもらっていた疑いも出ている。免許事業である放送が厳しい現状を乗り越えるには2つ道がある。制作者が知恵を絞るか、権限を持つ役所との汚職にまみれるか。番組の打ち切りが前者であり、接待が後者であることは言うまでもない。

 もちろん、多くの放送局では、前者で頑張っている。しかし、総務省が、放送・通信とは何かという指針も持たずに権限を振りかざす状況が変わらない限り、後者のような不正は今後も起きるだろう。ここは、許認可の仕組みを変える制度改革が必要だ。総務省から分離した放送・通信に関する専門的な機関の設置だ。モデルはある。アメリカ政府で放送、通信を担当するFCC=連邦通信委員会だ。

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