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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

ご都合主義!もどきの社会派や復讐劇はうんざり…本物のヒューマンドラマが見たい

公開日: 更新日:

 猛暑で脳みそが溶けてしまいそうだ。こういう時は何も考えず、ぼーっと楽しめるドラマが理想だが、近頃その手はめっきり少なくなった。

 今夏はやたらと「ヒューマンドラマ」を謳うものが目につくが、フタを開ければ、無理くり感動させようという作為が見え、登場人物をあえて逆境に身を置かせるなどご都合主義な展開ばかりであきれる。社会派ドラマも復讐ドラマも伏線回収も、もううんざりだ。

 そもそもヒューマンドラマとは文字通り人を描いたドラマのはずで、日常の中で登場人物の内面や心の葛藤などを丁寧に描いてこそ。なのに「心の自然な流れ」や「日常に潜むリアリティー」は置き去りにされている。内面よりも設定重視。日常よりもイベント重視で共感などできやしない。

 現在、フジテレビでは「北の国から」を再放送している。44年も前のドラマだが、今見てもまったく古びていない。何度も見たが、そのたびに新鮮な感動を覚えるのは富良野の雄大な自然とそこで暮らす黒板五郎(田中邦衛)と子供たちの生活、周りの人たちとの関係性がきちんと描かれているから。まさに、これこそがヒューマンだ。

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