話題の肥満薬はどこまで安全なのか…糖尿病なしの患者に投与
最近新しい肥満症の治療薬が発売され、大きな話題となっています。これはGLP-1受容体作動薬というタイプの薬で、もともとは糖尿病の治療薬として使用されていたものです。その後、臨床試験の結果、体重が減ることが確認されたので、糖尿病のない肥満の患者さんにも使用する試験をして、新たに肥満症の治療薬として認可されたのです。週に1回注射で使用する方法が主体で、その効果が高いため、急速に使用が拡大しています。ただ、問題は「やせ薬」として、きちんとした医師の診察などは受けずに使用されているケースが多い、という点です。医療用として開発されたこの薬を気軽に使用することに何かリスクはないのでしょうか?
今年の耳鼻科学の専門誌に、GLP-1受容体作動薬の耳鼻科領域の副作用(有害事象)をまとめた論文が掲載されています。
アメリカの専門機関に寄せられた情報では、2023年までに1万例近い、耳鼻科領域に関連する副作用報告が寄せられました。その結果、甲状腺のがんや胃酸の逆流、口の渇きや嗅覚障害、顔面神経マヒなどの病気や症状が、GLP-1受容体作動薬の使用により増加することが確認されたのです。特に甲状腺のがんのリスクは10倍以上増加していました。
GLP-1受容体作動薬は有効性のある薬ですが、特有の副作用もあるため、しっかりと医師の診察を受け、適正に使用する必要があるようです。