映画「トゥルーノース」在日4世・清水ハン栄治監督が描く極限状態の心理
北朝鮮の政治犯強制収容所で生きる家族のドラマを3Dアニメーションで描いた映画「トゥルーノース」が話題だ。カンヌ国際映画祭のアニメ部門から独立した世界最古のアニメ映画祭、アヌシー国際アニメ映画祭にノミネートされたほか、メディアアート界で最も権威があるとされるアルス・エレクトロニカ賞でも入賞。先日公開された日本でも絶賛され、手厳しいとされるYahoo!映画のレビューでも平均4.35点の高評価を得ている。その見どころについて、映画批評家の前田有一氏が解説する。
■製作期間10年
「知られざる収容所での日常生活を、アニメならではの没入感で疑似体験させられます。収容者同士の人間関係など、徹底したリサーチを基に細部までリアルに描いたといいますが、家族を北に残している脱北者や元看守への取材は相当難航したそうです。10年もの製作期間がかかったのは、それでも妥協せず真実を追い求めた監督らの信念によるものでしょう」
60年代の帰還事業で日本から北朝鮮へと渡ったパク一家は、父親が政治犯として連行され、残った母子も強制収容所に入れられてしまう。映画は小学生ヨハンの視点から、壮絶なサバイバルの行方を描く。