大越健介氏を「報ステ」メインキャスターに“一本釣り”したテレ朝の打算と思惑

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 6月末でNHKを定年退職した大越健介氏(59)が10月から「報道ステーション」(テレビ朝日系)のメインキャスターを務めることが9日、同局から発表された。大越氏は月曜から木曜までを担当するという。

 大越氏は1985年、NHKに入局。政治部記者、ワシントン支局長などを経て、2010年から「ニュースウオッチ9」「サンデースポーツ2020」などのキャスターを務めた。

「報ステ」は、04年4月の番組開始以来、古舘伊知郎(66)が12年にわたり“番組の顔”だったが、16年3月の降板後は、同局の富川悠太アナ(44)や小木逸平アナ(47)、森川夕貴アナ(27)、元同局の局アナでフリーの徳永有美(45)らがメインを務めてきた。

 テレビコラムニストの桧山珠美氏はこう話す。

「政権に盾突いて『ニュースウオッチ』を降板させられたといわれた大越氏は、定年退職を機に、そのイメージを駆使して、うまくメインにおさまったなという印象です。一方、テレ朝としても、トラブル続きで人気がガタ落ちだった『報ステ』で、『ニュースステーション』から続く平日夜のニュース番組の復権を狙って勝負をかけたのだと思います」

トラブル続きだった出演陣

 確かに「報ステ」は、ここ数年ドタバタ続き。富川アナを巡っては、小川彩佳アナ(36)の降板時に不仲説が取り沙汰されたばかりでなく、20年4月に新型コロナに感染した際は“番組内クラスター”を引き起こしたことで猛批判を受けた。さらに自宅療養中に、2人の息子に対する妻のDV疑惑など“家庭内トラブル”が報じられ、降板説がくすぶり続けていた。さらに19年には番組のチーフプロデューサーのセクハラ疑惑が週刊誌に報じられ、今年3月には、女性蔑視的な番組のウェブCMが炎上した。

 一方、今回、大越氏がメインキャスターに就任しても、徳永は残留し、大越氏とのダブル出演となるという報道や、出演中の富川、小木、森川、徳永の4人は、全員番組に残留するという報道など、座組みに関しては情報が錯綜している。さるキー局関係者はこう話す。

「テレ朝としては、当初、解説者として起用するつもりだったようだが、大越氏の意向でメインとなったようです。4月にテレ東のWBSの放送時間が前倒しになり、そうした危機感も関係してのテコ入れだったが、フタを開けてみれば視聴率は下がるどころか、相乗効果で上がった。テレ朝としては、水面下で交渉を続けた成果で大越氏を“一本釣り”したはいいけれど、“釣った魚は大きいが、どう料理するのか考えあぐねていた”というのが実情のようだ」

 放送ジャーナリストの小田桐誠氏は大越氏に関して、「ジャーナリストとしての実力は申し分ない」とした上でこう続ける。

■視聴率の洗礼は…

「元NHKの看板アナといえども、民放で苦労している人はたくさんいる。NHKにも接触率という考え方があるが、民放は毎分、毎秒という視聴率を突きつけられる世界。確かに大越氏は、弁も立ち“モノ言うキャスター”として注目されてきたが、それがすぐに視聴率に結びつくかどうかは別問題。久米宏や古舘伊知郎のように、内容はもちろん、表情や声色、出演者との丁々発止のやりとりなど、『テレビの見せ方』を熟知している歴代の猛者を超える決定打を打ち出せるかどうかでしょう」

 東大野球部出身の大越氏。“還暦ルーキー”のお手並み拝見だ。

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