寄稿:藤島メリー泰子さん追悼秘話 おっかない中年夫人の無理難題に良くも悪くも翻弄された

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「あなた? 素晴らしいことを実現したのは。あんな最高な演奏に出合ったのは初めて。ありがとう!」と言って疲れ切った私の手を何度も強く握りしめた。

■日テレ氏家会長と定期的に会食

 その後、私はチーフプロデューサーになり、何度か氏家さんとメリーさんの会食に他の幹部とお供した。氏家会長は他のどんな芸能事務所の大物ともめったに会わないが、ジャニーズ事務所のメリーさん、ジュリーさん親子とだけは年に1回か2回は会食を設けた。ある時は麹町の日本テレビの片隅にたたずむクモの巣とほこりだらけだった“あずまや”という屋敷を2人のためにピッカピカに改装し、庭と池も手入れし、中国飯店の豪華料理とワインを振る舞った。ジャニーズ事務所と懇意にしていたといわれる中曽根元首相と刎頚の友である氏家さんが丁重にメリーさんを遇したという話も聞いたことがある。

■「ウチのタレント全員引き揚げます」

 テレビマンの私からするとメリーさんはゴージャスなメガネにパーマヘアのおっかない中年婦人だった。「その条件ならうちのタレントは出しません」と無理難題を言われることもしばしば。そんな交渉事の有無も言わせぬ圧に我々プロデューサーは良くも悪くも翻弄された。ジャニーズのタレントAと女優Zの蜜月が報じられると、生放送3日前に幹部が日テレにやって来た。「あさっての番組、Zを降板させないならウチのタレント全員引き揚げます」とサラッと言われた。Zの出演はわずかでAとZの共演はない。私と部下のプロデューサーは青ざめ、すぐZの事務所に行き、別の番組をあてがった。推測だがそんなことを仕掛けてくるのは“交渉の鬼”メリーさんしかいないと今でも思っている。

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