上皇后美智子さまは皇室の「顔」として絶大な人気だが…エリザベス女王との違いは何か

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 英王室では絶大な権限を持っているエリザベス女王のように、美智子さまも日本の皇室で絶大な権限を持っているのではないかと囁かれている。もちろん実際の権限があるわけではない。周囲の「忖度」によるものが多いことを前回は書いた。

 しかし、美智子さまとエリザベス女王は似ているようでいて、違いも少なくない。

 最大の違いは、エリザベス女王は王家の血筋であることだろう。「国民統合の象徴」になるにはやはり出自が重要であり、これは日本も変わらない。「国民と共に」行動する天皇は、国民の敬愛や信頼があってこそだが、そんな象徴となれるのは、もちろん天皇だけである。上皇后さまも、63年前より以前はその他大勢の一般人にすぎなかった。もちろん聡明で才気煥発な女性であることは今さら言うまでもないが、国民が畏敬するには血筋が重要で、混乱の時代でもない限り、皇后にどれほど実力があっても限界があるだろう。かつて上皇さまが「皇后は常に私の立場を尊重しつつ寄り添ってくれたことに安らぎを覚え……」と述べられたように、あくまで天皇の伴侶なのである。

 動かせるお金も違う。イギリス王室は年間に500億円近い収入がある。多くは不動産収入だ。むろん会計担当による監査はあるが、財布の紐を握っているのは女王である。戦前の皇室はこれに近い収入はあったが、今はほぼ全額を国の税に頼っている。現在、皇室費は約124億円(令和3年度)だが、天皇家の私的費用である内廷費は3億円ほど。さらに自由に使えるお金となるとごくわずかにすぎない。戦前の皇室はお金をばらまくことで皇室の権威を示したが、今はほぼゼロに近いといえるだろう。

多くの国民が真摯な姿勢を理解し支持

 そして、もうひとつ大きな違いは、現役であるエリザベス女王に対し、美智子さまは一線を退かれているという点だろう。

 皇后時代の美智子さまは、天皇と共にさまざまなご公務をされてきた。とりわけ注目されたのは第2次世界大戦の清算ともいえる「慰霊の旅」である。しかし、天皇が退位されれば、皇后もこうした公務から離れるしかない。上皇・上皇后が活動すればするほど二重権力になるからだ。それでなくとも、こんなことが言われているという。

「コロナ禍もありましたが、令和になってからの新しい天皇像が見えません。リモートもされていますが、地味すぎて目立たないのです。これも上皇さまと上皇后さまにご遠慮されているのではないかと言われています」(宮内庁関係者)

 上皇や上皇后が目立てば、今以上に今上天皇のお姿がかすんでしまうだろう。

 本来なら日本の皇族が取り組むべきテーマはたくさんある。例えば子供の権利保護や、虐待、いじめ、貧困などがそうだ。犠牲になるのは常に子供であり、政治家が見て見ぬふりをしているなら、かわって皇族が積極的に関わるべきテーマだろう。

 今上天皇が存在感、独自性を示す好機でもあると思える。

 それなのに積極的な行動が見られないのはなぜだろう。先駆者である上皇・上皇后に遠慮しているのだとしたら、もったいない話だ。

 美智子さまが皇后を退いて上皇后となった今、その存在を示すことができるのは皇室の中だけではないだろうか。もちろん美智子さまの業績は歴史に残るものだが、だからといって積極的に表に出られて困るのは現在の天皇・皇后ではないのか。

 生まれながらの皇族以上に皇室を守ろうとする美智子さまの真摯な姿勢を、多くの国民は理解し、支持している。そうした国民は、皇室の繁栄をも願っている。だからこそ、これからは象徴である今上天皇を内側からもり立てる役割が余計に望まれるのだと思うし、それができるのもまた美智子さまと言えるのではないだろうか。 (つづく)


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