著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

栗山千明「晩酌の流儀」は金曜深夜の“飯テロ”ならぬ“酒テロ”ドラマ

公開日: 更新日:

 リモート勤務が多くなったとはいえ、1週間の区切りとなる週末の解放感は今も変わらない。その金曜深夜に、新たなグルメドラマが登場した。ドラマ25「晩酌の流儀」(テレビ東京系)である。テーマは「家飲み」を極めることだ。

 主人公は不動産会社に勤務する伊澤美幸(栗山千明)。一日の終わりに、おいしく酒を飲むことを至上の喜びとしている。しかも、そのためには努力を惜しまない。定時退社したいので集中して仕事をする。次が最高の状態で酒と向き合うための準備だ。1日の初回はサウナだった。

 さらにスーパーで安くてうまい食材を買う。モットーは「家飲みで一番大事なのは、最小のコストで最大のパフォーマンスを出すこと」。帰宅後の手早い料理で、しめさばカルパッチョや麻辣にら玉などが食卓に並ぶ。

 最大の見せ場が、待望の1杯目だ。まるで恋人を見るような目で、ビールがつがれたグラスを見つめ、やがて静かに、しかし情熱的に黄金色の液体を喉に流し込む。

 そして2杯目。美幸は「これが私の流儀だ!」と宣言し、別のグラスを冷蔵庫から取り出す。適度に冷えた状態のグラスで飲み続けたいからだ。

 番組冒頭、美幸が「ドラマを見終わった後、あなたもきっと、お酒を飲み始める」と言っていたが、まさにその通り。飯テロならぬ、完璧な酒テロドラマである。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁