著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

吉田拓郎(76)はすべての活動に終止符…歌手の引退決断は「運転免許返納」くらい難しい

公開日: 更新日:

「80歳になる来年5月で歌手引退」を宣言している橋幸夫加山雄三(85)や吉田拓郎(76)は今年、相次いで引退を発表した。加山は年内でコンサート活動から引退。吉田はすべての活動に終止符。7月21日の「LOVE LOVEあいしてる」(フジテレビ系)が最後のテレビ出演になる。

 芸能界での引退宣言は大半が女性山口百恵・高田みづえらは結婚を機に引退。安室奈美恵森昌子は“すべてをやりきった”ように引退していった。男性の引退宣言は珍しいが、高齢によるものが大半だ。

「歌手の場合、体力はあっても問題は声。酷使され続けた声帯は勤続疲労を起こす。本来の声が出なくなれば、聴きに来るお客に対して失礼。歌手としてのプライドも許さない」(音楽関係者)

 今後も引退する歌手は出てくるだろうが、正式な引退宣言が必要か否かの判断は課題だろう。

 スポーツ界は体力の問題で引退年齢は若く、引退後はセカンドステージへと進む。芸能界の場合、女性は“結婚”という第二の人生を選択することもできるが、男性は「生涯の仕事として、声が出なくなるまで歌い続けたい」という人が多い。

 芸能界も高齢と共に仕事が減るのは当然だが、活動しない時期が増えても、あえて引退宣言する必要はない。それは運転免許返納にも似ている。年齢的に運転する機会も減り「もう運転は無理かもしれない」とわかっていても、返納すれば「二度と運転できなくなる」という思いも起こる。「また運転できる機会、運転しなければならない状況ができるかもしれない」と、返納できないでいる後期高齢者も少なくない。

 運転を歌に置き換えれば、引退の決断がいかに難しいかがわかる。76歳で決断した吉田のラストアルバムのタイトルは「ah─面白かった」。歌手人生を振り返って正直な気持ちをタイトルにしたのだと思う。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー