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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

4週連続ドラマ「さよならの向こう側」貴重な24時間をどう使うか

公開日: 更新日:

 木曜深夜に放送中の4週連続ドラマ「さよならの向う側」(読売テレビ制作・日本テレビ系)は、現世とあの世の境界が舞台だ。

 そこには「案内人」なる男(上川隆也)がいて、死者に「24時間だけ。会いたい人に、会うことが可能」だと教える。ただし、「死亡したことを知らない人に限る」という条件付きだ。

 第1話の主人公は不慮の交通事故で亡くなった、中学教師の彩子(貫地谷しほり)。一番会いたいのは、残してきた息子・優太だ。寝顔を見るだけなら大丈夫だろうと深夜の自宅に忍び込む。

 突然、優太が目を覚ましたので驚くが、幼くて「死」を理解できていないため、ルールに抵触しなかった。「お母さんは僕のヒーローだ」と言う優太に、「姿が見えなくなっても、いつも思っているから」と伝える彩子。短過ぎたとはいえ、幸せな人生だったと実感することが出来た。

 理不尽な死が納得できない状態から始まり、貴重な24時間をどう使うかに悩み、息子との再会を喜ぶ彩子の感情の流れを、貫地谷が丁寧に演じて見事だ。

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