著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

生きるために政治は必要だが、生き心地を確かめるには文学が役に立つ

公開日: 更新日:

 金融緩和策をとってきた日銀の黒田総裁の任期が4月8日に満了する。翌9日と23日は統一地方選挙。首相は国民負担増を想起させるワードの使用を控えることに余念がない。財務省と政権が防衛費の財源確保のために全面増税の機会を窺っているのは明らかなんだけどね。NGワードの最たるものは「増税」。だが国民の目をそらそうと少子化対策を話しても、同性婚を語っても、舌禍は続くよどこまでも。何かを隠す目的ありきで時間を埋めるためだけに発した言葉には、どう隠しても本音が露見するからだ。げに恐ろしきは言葉かな。

 言葉には、話し言葉と書き言葉がある。前者は概して正確な伝達よりも円滑なコミュニケーションを主目的とする。それゆえ柔らかさを重んじるし、聞き手の警戒心を解くために平易でくだけた表現を優先する場合も多い。もちろんスピードや声のトーンといった要素も無視できない。話し言葉と書き言葉、ふたつの架け橋となるのが朗読。たとえ黙読を前提として書かれた文章であっても、語りのプロが朗読すれば、描かれた情景は見事に立ちあがってくる。

 クルマ通勤が主流の米国を筆頭に欧州や中国ではオーディオブック市場が活況を呈している。それほどまでには盛り上がっていない日本でも、聴き放題サービスの広告を目にする機会が増えてきた。日本能率協会総合研究所の予測によれば、2020年には100億円に満たなかった市場規模が24年には260億円に達する見込み。ぼく自身この2年ほど移動時や就寝前によく利用しているので、朗読の効果は日々体感している。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  4. 4

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  5. 5

    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

  1. 6

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  2. 7

    男子バレー小川智大と熱愛報道のCocomi ハイキューファンから《オタクの最高峰》と羨望の眼差し

  3. 8

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明

  4. 9

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘

  5. 10

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明