「四季の歌」の芹洋子さんは71歳でも活動意欲満々!「立ち止まったら衰える一方ですから」

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 昨年末の紅白は知らない歌ばかりだったというムキも多かっただろう。世代を超えて知られる歌を家族で聴きたい、と嘆いた読者も少なくないはず。「四季の歌」や、近年の卒業ソングの定番「旅立ちの日に」などは、まさにそうした歌。歌っていたのは芹洋子さんだ。明るく澄んだ歌声が懐かしい。芹洋子さん(71歳)、今、どうしているのか。

 ◇  ◇  ◇

「コロナ前は全国各地で、歌とおしゃべりを楽しんでいただくトークコンサートなどを行い、コロナ中も依頼はありました。でも、『四季の歌』がヒットした頃、私のコンサートを聴きに来てコンサート中に倒れた方がいらしたんですよね。その経験から、同じようなことがあってはいけない、と依頼を断っていました。ただ、そろそろ再開してもいいかなと思い、1月に三重の長島温泉の歌謡ショーで公演を再開しました」

 東京都内のカフェで会った芹さん、まずはこう言った。声に張りがあり、よく通る。しばらく歌っていなかったようには、とても思えない。

「音楽の先生だった母が、“鈴を転がしたような声”とよく言われていたそうで、私の声は母譲りなのでしょうか。コロナの自粛期間中も、自宅でマスクを三重にして自分の歌を歌ったり、それから、一般の方から『私が作った歌を歌ってくれませんか』などと依頼がきた歌をレコーディングしていました。ええ、そういうご依頼をときどきいただくので、以前から、実費だけいただいて、レコーディングしCDにして差し上げています。とても喜ばれますよ。そういうわけで、コロナで自粛期間中も、結構歌っていたのです」

 なるほど。

東京五輪では聖火ランナー

「歌える体を維持するために、トレーニングも頑張っています。アクアビクスといって、プールでのエアロビクスを長年続けています。時間があれば週に何回も。食事もバイキングが大好きで、バランス良くたくさん食べます(笑)。おかげで健康で丈夫。2年前の東京五輪では、大分で聖火ランナーとして走らせていただきました。大分は私の代表曲のひとつ『坊がつる讃歌』誕生の地。応援してくださった大分のみなさんに、恩返しをしたかったんです」

 昨年11月には、「芹洋子と歌おう 愛唱歌集」という冊子を芹さんの個人事務所で制作。71歳にして活動意欲マンマンだ。

「立ち止まったら衰える一方ですからね。私は30年以上前に大きな交通事故に遭い、外傷性くも膜下出血で記憶を失ったことがあります。それを乗り越えられたので、第二の人生をいただいたと思って、命が尽きるギリギリまで、生きることに全力を傾けたい、少しずつでも前へ進みたい、という思いなんです」

 20年ほど前にはガラス工芸を始めた。

「事故を経験し、それまでの人生とは違う生き方をしたい、歌のほかにも表現できるものがあったらいいな、と思うようになりました。そんなとき、友人にステンドグラスの作品展に誘われ魅せられました。ガラスは割れやすいけれども美しくもあり、作品は心に明かりをともしてくれると思うんです」

■読売カルチャーで週1回講師を

 約15年前から読売・日本テレビ文化センターが運営するカルチャー教室「よみうりカルチャー」で、週1回講師も務める。

「トークコンサートもガラスアート教室も、みなさんと肩を並べて普段の生活や最近の流行などについてお話しできる。私にとって大きな喜びで、やめられません」

 さて、東大阪市出身の芹さんは、子どもの頃から歌番組などに出演して注目され、高校在学中にデビュー。卒業後の1970年、NHKの子ども向け音楽番組「歌はともだち」の司会に抜擢され、上京して本格的に活動を始めた。

「愛の国から幸福へ」「赤い花白い花」「坊がつる讃歌」「四季の歌」など、次々とヒットを飛ばし、「四季の歌」は中国でも大ヒット。中国政府から初めて招かれた日本人歌手として北京公演を行い、成功させた。

 2005年にリリースした「旅立ちの日に」は、後にSMAPが歌うなどして卒業ソングの定番に。

「『旅立ちの日に』は埼玉の、ある中学校の校長先生と音楽の先生が作った歌。ディレクターさんから『いい歌がある』との情報をいただき、レコーディングしたんですよ」

 長年、個人事務所社長を務めていた夫は17年、83歳で肝臓がんで死去。以来、40歳になる愛娘・亜美さんと二人三脚で活動している。

「夫の生前中は、すべて夫が担っていたので亡くなって数年は大変でした。仕事に穴をあけてはいけない、と2人で必死にやっていたら、悲しみはいつの間にやらどこかへ消えていましたね」

 亜美さんはマネジャーのかたわら、“橘花あざみ”名で小説を執筆。昨年、「恋文-koibumi-」で第1回表参道文学賞大賞を受賞したそうだ。

「娘が小さい頃は、スタッフさんが許してくださる範囲でコンサート会場にも連れていき、何とか歌と子育てを両立してきました。何ごとも強要はせず、共に経験する子育てを心がけていました」

 亜美さんと都内で2人暮らし

(取材・文=中野裕子)

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