林家彦いちさんが見た木久扇師匠の勉強家な一面「接待されるのは好きじゃなかった」

公開日: 更新日:

林家彦いちさん(落語家/54歳)

 創作落語で活躍する林家彦いちさんは「笑点」卒業を発表した林家木久扇のお弟子さん。若手時代の落語家の酒席流儀や木久扇師匠とのエピソードも語っていただいた。

 ◇  ◇  ◇

 18歳で鹿児島から上京して、初めてお酒を飲んだのは国士舘大学在学中で、先輩に飲まされた時ですね。僕は空手をやっていて、多分、稽古納めとか節目の日に道場で「おい、おまえ飲め」と。まあ、そういう時代でしたからねぇ。

 ビールと日本酒でしたが、チャンポンになったものも飲まされて。私にはえたいの知れない液体にしか思えず、まったくおいしくなかったですね。

 中退して落語界に入ると、前座は飲酒禁止。でも、それは表向きで、師匠たちから「一応ね、お酒はダメなんだよ」と言われる程度のもの。師匠も先輩も、前座を連れて酒席に行きますし、飲むのは黙認してましたよ。

 うちの師匠の木久扇はお供する僕に「ま、1杯くらい飲みなさい」とおっしゃってましたが、他の先輩方との酒席に付き合うのは大変でしたね。そもそも若い頃はお酒がおいしく感じなかったし、炭酸ジュースの三ツ矢サイダーの方が好きでしたから。

■スナックでは水割り係

 それぞれの師匠の馴染みのスナックに行くと、前座がお酒をつくるのは当たり前で、店のママが「はい、前座さん、よろしく」と水割りのセットを僕の前に置いていなくなります。二つ目になっても酒席で一番若ければ水割り係に徹してましたよ。僕は楽しむ余裕のない水割り製造マシンでした。

 そもそも酒付き合いも得意ではなく、若い僕には「噺家はいい落語をつくればそれでいいじゃないか。なぜこんな長丁場の酒の席が必要なんだろう?」と思っていました。付き合い酒が本当に多い時代で、僕は寄席は修業だし、学べることは楽しいけど、終わった後の酒席は苦手。20代は「俺はいい噺をやってやるぜ!」というがむしゃらな突進力だけがありました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  2. 2

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 3

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  4. 4

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  5. 5

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  1. 6

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  2. 7

    森下千里氏が「環境大臣政務官」に“スピード出世”! 今井絵理子氏、生稲晃子氏ら先輩タレント議員を脅かす議員内序列と評判

  3. 8

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  4. 9

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  5. 10

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情