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松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

この国の音楽業界には、こんなにカッコいい72歳がいる。

公開日: 更新日:

 前回の予告通り、今週の日曜日(17日)、大島新監督の新作『国葬の日』上映トークイベントをポレポレ東中野で行った。そのまなざしにつよい共感を抱いてきた同世代の大島監督だが、公開の場で対談するのは初めてのこと。だが前売りでチケット完売というありがたい状況にも背中を押され、ずいぶんリラックスして話すことができた。

 壇上のふたりへの時差も温度差もない反応から、皮肉や洒落を解する観客に恵まれた幸運が露わになったころ、監督がぼくに質問した。

「松尾さんはとてもメジャーな場所で仕事をしていますが、こういう(政治ドキュメンタリー)映画をこまめに観ていますよね。どうしてですか」

 エンターテインメントは、どこまでいっても〈ひとときの憩い〉でしかない。だからこそかけがえのない価値があるし、そこにぼくも尊さや誇りを見出している。でも〈憩い〉がたとえどんなにメジャーでダイナミックなものになったところで、世の中を変えられるかというと、たとえば戦争を止めたりする力までは、残念ながら、ない。せいぜい日常の憂さを晴らしてくれたり、「戦争なんかより、ほかにもっと楽しいことあるよな」と思わせてくれる程度だろう。逆に「戦争って楽しそう」とそそのかすことは得意そうで怖いのだが。

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