真田広之『SHOGUN 将軍』はこう見るべし! エミー賞18冠の要因、楽しむためのポイント

公開日: 更新日:

 今年の米プライムタイム・エミー賞で史上最多となる18部門を独占した連続ドラマ「SHOGUN 将軍」。世界でいま最も注目が集まっているドラマだ。なぜここまで高い評価を得たのか。「SHOGUN 将軍」を楽しむためのポイントとあわせて、映画評論家の北島純教授(社会構想大学院大学)が解説する。

 まず何よりも「SHOGUN 将軍」にはドラマとしての圧倒的な面白さがある。それを支えているのは、優れた脚本と俳優陣の演技だ。脚本を手掛けたジャスティン・マークスとレイチェル・コンドウ夫妻は、戦国時代の日本に漂着したイギリス人航海士の数奇な運命が語られるというジェームズ・クラベルの原作小説「将軍」(1975年)の基本線を維持しながらも、物語を「異文化間のコミュニケーション」を影の主題とする壮大なダイナスティードラマ(権力争奪譚)に新しく作りかえた。

 権力を巡る争いを描くドラマといえば、「ゲーム・オブ・スローンズ」を筆頭に多々あるが、「SHOGUN 将軍」は、16世紀のカトリックとプロテスタントの戦いやポルトガル貿易の利権など、これまで日本の時代劇ではあまり深掘りされてこなかった視点を取り込んだ上で、日本文化を全く知らない「異国人」と彼を助ける「通詞」(通訳)の間の対話劇を通じて、個人の損得を超えたところにある「宿命」「忠義」、「イエ」(藩)といった当時の日本的価値を分かりやすく伝え、米国人視聴者の興味を駆り立てることに成功している。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    大山悠輔逃し赤っ恥の巨人にOB評論家《良かった》 FA争奪戦まず1敗も…フラれたからこその大幸運

  3. 3

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  4. 4

    カネがいくらあっても足りない? 阪神は来年以降も大型契約の順番待ちズラリ…心配になる懐事情

  5. 5

    「エンゼルス佐々木朗希」誕生へ…菊池雄星との大型契約&異例の早期決着で獲得に布石

  1. 6

    悠仁さまの進学先に最適なのは東大ではなくやっぱり筑波大!キャンパス内の学生宿舎は安全性も高め

  2. 7

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 8

    フジテレビは大谷翔平邸に続き折田楓氏の自宅突撃で批判殺到…騒動から20年《ホリエモンに買ってもらえよ》再び

  4. 9

    大逆風の田中将大まさかの〝浪人〟危機…ヤクルト興味も素行に関する風評が足かせに

  5. 10

    「人は40%の力しか出していない」米軍特殊部隊“伝説の男”が説く人間のリミッターの外し方