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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

真田広之『SHOGUN 将軍』はこう見るべし! エミー賞18冠の要因、楽しむためのポイント

公開日: 更新日:

「SHOGUN 将軍」が高評価を得た背景には、近年のエンターテインメント界における「アジアの勢い」がある。「パラサイト」や「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」といった映画がアカデミー賞を席巻し、エミー賞でも韓国ドラマ「イカゲーム」が作品賞にノミネートされた。外国語作品の字幕視聴という新習慣も含めて、アジア系作品が受け入れられる地ならしは済んでいたともいえる。

 製作はディズニー傘下のスタジオ「FX」。2.5億ドル(約360億円)を超えるといわれる膨大な予算が投じられたのは、Netflixに後塵を拝しているディズニーにとって戦略的価値のある作品だったからだろう。プロデューサーを兼ねた真田広之の細部にわたる指導と美術セットの完成度のおかげで、日本文化が描かれる際にしばしば日本人が感じる「違和感」が低減されている。特に第8話以降は日本人であっても固唾をのむような展開で、これが「外国作品」であるということを思わず忘れるような仕上がりになっている。その「オーセンティシティー」(真正性)は日本文化に対する興味とリスペクトをかきたてる。今後のインバウンド需要に対する影響は計り知れず、真田広之の貢献は国民栄誉賞に値するだろう。授賞式のスピーチも秀逸だった。

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